医療・ヘルスケアの個人、スタートアップを主役に

Amazonの狙いと将来のMR活動への示唆

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国内外の製薬会社においてMR業務に従事。2012年には国内5%表彰にあたるJapan Salse Excellence Awardを受賞。その後、外資系コンサルティング会社にて、製薬企業の営業・マーケティング、PV、PMS部門の戦略策定から組織・人変革、BPRまで幅広い業務に従事。 現在は、独立しヘルスケアスタートアップ、製薬会社の営業・マーケティング、新規事業開発を中心に、コンサルティングを実施。
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記事の概要
今回の記事はこんな人のために書いています

  • デジタルヘルスが営業・マーケティングに与える影響を理解し、戦略立案に役立てたいと考える営業・マーケティング責任者
  • デジタルトランスフォーメーションを推進することになったが、何をすればよいか分からない営業・マーケティング担当者
  • 次世代MRに求められる役割・業務を理解し、成長したいと考える現場MR

今回の記事を読むと以下のことが分かります

  • Amazonのヘルスケアにおける取組と今後の展開
  • MR活動への影響

こんにちは、スターコネクトコンサルティングの水本です。

今回の記事は、製薬業界向けの営業マーケティングの業界専門誌のMonthlyミクスで2021年10月号に掲載した、「GAFAの動向(Apple, Googleの事例)」について記載した内容をご紹介したいと思います。

Monthlyミクス10月号でも公開していますので是非、ご興味ある方はご覧ください!

それでは以下にご紹介します!

はじめに

前回は、近年ヘルスケア領域においてプレゼンスを拡大している「Google、Apple」のヘルスケア領域における患者データの活用例として、「Apple Heart Study」について見てきました。今回は、「GAFAの動向」の後半戦として「Amazon」について考えてみたいと思います。近年「Amazon Care」の全米展開のニュース等、医療ヘルスケア領域への投資を拡大している同社ですが、ヘルスケア領域における「Amazonの狙い」と「今後の展開」、並びに「MR活動への影響」を一緒に考えていきたいと思います。

あっという間に過ぎた半年間

佐藤と偶然再開し、「デジタルヘルスが製薬・ヘルスケア業界の営業マーケティングに与える影響」について考えはじめ、あっという間に半年が過ぎようとしていた。

当初は、「デジタルヘルス」という未知の領域について、不安も多かったが、最近は、未来のMR像について考えることに対し、ワクワクする自分に気づく田中MRであった。

「おー田中。今日もよろしくね」

本日は、佐藤とのデジタルヘルスの調査について、最後の打ち合わせの日であった。調査としては今回のAmazonの事例が最後になるが、同時に今までの半年間に思いを巡らす田中MRであった。

「佐藤と半年前に再開して、今までのことを振り返って少し懐かしいなーと感じていたところなんだ。また、半年前、佐藤に出会ったときは、色々と将来のキャリアについて悩んでいる時期だったんだけど、半年間の調査の中で、自分なりに将来の医療・MRの姿について考え、これからどんなことをするべきか、少しづつ見えてきた所なんだ」

「将来の事は完全には分からないけど、自分なりに考えて行動を起こすことは大事だよね。一番良くないのは、悩みすぎて前に進めなくなってしまうこと。そういう意味ではこの半年間で、自分で考えて新しい事を調査し、考えることも出来るようになったし、大きな前進だと思うよ。この調子で頑張って!」

「有難う。こういう機会がないと自分で未知の領域について調べることもなかったと思うし、本当に良かったよ。それでは、『GAFAの動向』の後半戦として、Amazonについて調べてきたから、共有するね」

そういうといつものように田中は、ホワイトボードにあるポンチ絵を記載していった。

Amazonの狙いは?

「こちらを見て欲しい。現在アマゾンは買収等を通じて、ヘルスケア領域のみならず医療領域でサービスを拡大していっているんだ。こちらの図にあるように、ヘルスケア~医療の各段階に必要なサービスを包括的に提供していっている感じだね。」

「これは凄いね。今までの調査の中でも、日本のオンライン診療メーカーが3大メガキャリアと提携していく様子や、Telladoc, Livongoが合併して診察~在宅までの包括的なケアを提供していく様子を見てきたけど、アマゾン1社で全てのプロセスを押さえにかかっていっている感じだね。ただ、多くのプレーヤーが同様にヘルスケア~医療のバリューチェーン拡大に動く中、Amazonはどの様にこの市場を攻略していこうと考えているのかな?」

「そうだね。その点については、最近、全米に展開されるニュースが話題になったAmazon Careの例を元に考えていこうか」

Amazon Careとは?

「個人的にはAmazon Careは、1.『プライマリケアに特化したサービス』、2.『オンライン・オフラインのハイブリット型のサービス』という2つの点で注目しているんだ。」

「1.『プライマリケアに特化したサービス』って、なんか他のサービスでも提供されている感じがするけど、何か新しいことなのかな?」

「俺も佐藤と同じように思っていたんだけど、アメリカでもオンライン診療が活用されていたのは夜間や休日の診療や、メンタルヘルス、女性疾患等の領域が中心だった。しかしCOVID-19をきっかけに、プライマリケア領域という、いわば医療の入口の様な領域でも活用される土壌が育ったんだ。」
 
「プライマリケア領域におけるオンライン診療の活用サービス例として、Telladoc, Livongoの例なんだけど、こちらを見てくれるかな」

そういうと、田中はPCである一つのスライドを投影した。

「プライマリ領域は、かかりつけ医との密なコミュニケーションが求められる領域として、当初はアメリカでもオンライン診療が苦戦した領域だったらしいけど、自宅に居ながらにして継続的にモニタリングを行いつつ、必要な時に医師のみならず、サポートチームが栄養指導、メンタルケア等必要なサポートを行ってくれるのであれば、逆にコミュニケーションも密になるよね。勿論、対面でのコミュニケーションは重要だし、効果的だと思うけど、医療資源は限られているし、上手くデジタルを活用していくことが医療従事者、患者双方に取って良いよね。」

「そうだね。田中が以前調べてくれたように、日本ではオンライン診療の普及には、多くの課題があると思うけど、拡大の方向には向かいそうだよね。それまでは、アメリカにおける『Amazon』と『Teladoc, Livongo』のプライマリ領域での動向には注視しつつ、日本市場で活かせる部分を探していきたいね。」

今後の展開は?

「Amazonの今後の展開について、田中の考えを教えてくれないかな?」

「了解。そこは皆気になるところだよね。あくまで個人的な考えにはなるけど、Amazonはオンライン診療やHaloといったウェアラブルデバイス等を単に提供するだけではなく、それらから得られた膨大な“健康関連情報のサービス化”を狙っているんじゃないかなと思うんだよね。」

「“健康関連情報のサービス化”って具体的に教えてくれるかな。『データは21世紀の石油』だなんて良く言われるけど、医療で具体的にどの様に活用されていくのか、正直まだ漠然としているんだよね。感覚的には、患者のバイタルや血圧・血糖値、副作用情報…など活用方法は無限にありそうなんだけど、何かこの辺について田中の考えはある?」

「佐藤が言うように、日本では治療用アプリが上市され、現在は保険償還の枠組みの中でマネタイズされているけど、まだこれからの部分も多い。また多くの健康系アプリは基本ユーザーに無料で提供されていることが多く、昔からマネタイズについては課題とされてきたよね」

「日米で医療制度の違いなどもあるので、一概にアメリカで行われていることをそのまま日本で適用できるか分からないけど、一つの参考にはなると思うので、紹介するね」

そういうと、田中はホワイトボードに何やら1枚の表を書き込んでいった。

「こちらの表を見てほしい。アメリカでは、最近、保険会社が、健康保険にデジタルケアプログラムを組み入れ始めたんだ。アプリの強みとしては、どの様な患者に、どの様な治療をして、結果どうなったのかという、データを保有している為、サービスのROIを明確に出すことが出来る。自社のプログラムを導入することにより、どの程度の医療費の削減効果を得られることができるのかについてサービス導入時に分かれば、導入しやすいよね」

「Amazonがこの様なデジタルケアプログラムを提供するかは分からないけど、膨大な患者データを保険会社に提供したり、デジタルケアプログラムとして提供したり、色々な展開が可能になるよね」

「デジタルフォーミュラリか。日米の違いはあれど、今後の日本でも似た展開にはなるかもね。最後に、これらの動きを踏まえて、これからのMR活動にどの様に活かしていくかについて、田中の考えを聞かせてくれないかな?

MR活動にどの様に活かせるか?

「Amazonの事例からも分かるように、今後ヘルスケア~医療の全ての段階が包括的に管理されるようになる。各種ウェアラブルデバイスにより、患者の健康情報は一元化され、その情報を分析することにより、各治療に対する費用対効果も明らかになる。そうなると医療費高騰に悩む日本にとって、費用対効果の高い治療が、ガイドラインで推奨されるのは必然の流れだし、そこから大きく逸脱する治療に対しては場合によっては保険償還されなくなるなどの対応も予想される。」

「あるデジタルケアプログラムが保険償還されることになったとしても、実際に市場で使われる中で、費用対効果が低いとなれば、場合によっては保険点数が下がることも考えられる。勿論、効果が高いとなれば保険点数が上がることもあるかもしれない。」

「ということは、現場としてはどう対応していくことが求められるのかな?」

「以前、治療用アプリの調査の時にも少し話したと思うんだけど、治療用アプリをはじめとするデジタルケアプログラムの効果は、患者が継続して使用することが何よりも大事で、医師・患者サイドの意識の高低が治療効果に直結すると思う。個人的な考えではあるけど、この前提に立つのであれば、これらのプログラムは現場で先生・患者さんに使ってもらいながら、一緒に進化させていくという考え方が重要なのかなと思う。つまり、MRが医師への情報提供の中で、顧客の声を拾い上げ、プログラムに反映させていくことは非常に重要な役割になるんじゃないかなと思っている。」

「また、費用対効果が明らかになり、全国版のガイドラインは勿論の事、地域特性に応じた、地域ガイドラインが規定される可能性もあるので、エリアの事情も良く理解しているMRが本社スタッフと一緒になって、各医療圏のAOLと地域ガイドラインのカスタマイズ支援をしていくという役割もMRには求められるようになるかもしれない」

「なるほど、1.『治療プログラムの進化』と2.『地域ガイドラインカスタマイズ支援』か。この様な将来の可能性も視野に入れながら、自らレベルアップしていくという姿勢が今後のMRには求められそうだね。」

おわりに

今回は「GAFAの動向」の後半戦としてヘルスケア領域のける「Amazonの狙い」と「今後の展開」並びに「MR活動への影響」について考えてきました。これらの予想がどこまで現実になるかは分かりませんが、大切なのは常に業界の動向を踏まえつつ、将来について自分なりの考えを持ったうえで、準備をすることだと思います。次回は本連載の最終回となりますが、今までの内容を振り返りつつ、「次世代の営業・マーケティング担当者に求められる役割・能力とは何か?」について考えていきたいと思います。

第九回:「次世代MRに求められる役割・能力とは?」を読む

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