医療・ヘルスケアの個人、スタートアップを主役に

オンライン診療の動向と、MR活動の可能性

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国内外の製薬会社においてMR業務に従事。2012年には国内5%表彰にあたるJapan Salse Excellence Awardを受賞。その後、外資系コンサルティング会社にて、製薬企業の営業・マーケティング、PV、PMS部門の戦略策定から組織・人変革、BPRまで幅広い業務に従事。 現在は、独立しヘルスケアスタートアップ、製薬会社の営業・マーケティング、新規事業開発を中心に、コンサルティングを実施。
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記事の概要
今回の記事はこんな人のために書いています

  • デジタルヘルスが営業・マーケティングに与える影響を理解し、戦略立案に役立てたいと考える営業・マーケティング責任者
  • デジタルトランスフォーメーションを推進することになったが、何をすればよいか分からない営業・マーケティング担当者
  • 次世代MRに求められる役割・業務を理解し、成長したいと考える現場MR

今回の記事を読むと以下のことが分かります

  • オンライン診療の課題
  • MRの役割・活用

こんにちは、スターコネクトコンサルティングの水本です。

今回の記事は、製薬業界向けの営業マーケティングの業界専門誌のMonthlyミクスで2021年8月号に掲載した、「オンライン診療の動向と、MR活動の可能性」について記載した内容をご紹介したいと思います。

Monthlyミクス8月号でも公開していますので是非、ご興味ある方はご覧ください!

それでは以下にご紹介します!

はじめに

前回は治療用アプリの後半戦として、「治療用アプリの課題とMRの役割」について考えてきました。今回は、治療用アプリ同様、コロナ禍で注目を浴びている「オンライン診療メーカーの動向」について見ていきたいと思います。また海外の先進事例を元に、今後の展開についても予想し、MRはどの様な役割を担っていくべきかについても、併せて考えていきたいと思います。

それでは早速今回も、ヘルスケアスタートアップで働く佐藤と、製薬会社でMRをする田中との対話を通じて、本テーマについて考えていきたいと思います。

コロナ禍でMR活動を行う中で、オンライン診療の話題が出るようになり、MR活動にどのような影響を与えるのかについて気になる田中MRであった…。

国内オンライン診療メーカーの動向は?

「佐藤、前回は治療用アプリについて色々と話すことができ、自分なりの考えを持つことが出来て良かったよ。今後も興味あるテーマについては、自分なりに調べてみて、業務にどの様な影響を与える可能性があるか、少し先回りして考えるようにするよ」

前回の打ち合わせで、治療用アプリという、土地勘のない領域であったが、海外の文献を調査し、自分なりに考えを纏めることが出来、少し自信がついた田中MRであった。

「それは良かったね。日々業務を行っていると忙しさに謀殺され、つい短期的な視点に陥りがちだけど、たまに土日など纏まった時間をとって、自分が興味あるテーマについて、立ち止まって考える習慣は本当に重要だよ。是非今後もその調子で頑張って!因みに何か興味あるテーマはある?」

「実は以前から少し気になっていたんだけど、コロナ禍で良く聞くようになった『オンライン診療』について、少し調べてみたんだ。今日の打ち合わせはオンライン診療について、佐藤と話したいと思っているんだけど良いかな?」

「勿論。治療用アプリ同様、最近盛り上がっているように見えるけど、実際どうなのか気になっていたんだ。是非田中の考えを聞かせてもらいたいな。」

「了解。まずは、『登録医療機関数の推移』からなんだけど、こちらを見てほしい」

「コロナ禍において、オンライン診療というキーワードについて良く聞くようになったため、順調に普及していると思っていたんだけど、この図表を見ると結構横ばいになっているよね。2020年4月が10,812施設、5月が15,226施設と数を伸ばしているものの、その後は伸びが鈍化し、2021年4月末時点で、登録した医療機関数は16,843施設と全医療機関(110,898施設)の約15%に留まっている」

「横ばいになっている原因って何かな?」

「やはり高齢者にとってはインターネットやアプリを使ったオンライン診療のハードルは低くないと思う。但し、普及が進まない原因は、患者の問題だけではなく、インフラ/セキュリティ管理、対面診療よりも低い診療報酬等、多岐にわたっているんだ」

コロナ禍において、オンライン診療のキーワードを耳にする機会が多かったため、もう少し普及が進んでいると佐藤は思っていた。一方で、最近、オンライン診療メーカーが3大メガキャリアと提携発表する等、大きな動きを感じていた佐藤にとっては少し意外な結果であった。

「因みに最近、オンライン診療メーカーがドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ会社との提携のニュースを聞く機会があったんだけど、提携の意図って何かな?」

「俺も最近ニュースで聞いて気になっていたテーマなんだ。オンライン診療メーカーが次々と3大メガキャリアと提携するニュースが出てきたから、両社の意図って何なんだろうと思って調べておいたよ。」

そういうと田中はホワイトボードにポンチ絵を書いていった。

「『医療』と『ヘルスケア』の垣根はなくなるっていう話は聞いたことあるよね。正にそれを見越しての提携だと思う。3大メガキャリアは、強固な顧客基盤を持っており、従来からヘルスケア系のアプリも提供していた。一方で医療の領域には踏み込めていなかった。『医療』と『ヘルスケア』の垣根がなくなると言われている中、ヘルスケア~医療にまたがるバリューチェーンの構築が狙いというわけだね」

「なるほど。オンライン診療メーカーにとっても、市場は拡大が見込まれるものの、参入障壁は低く、機能面での差別化などは難しく、各社シェア争いの激化が見込まれる。製品自体の差別化は難しい為、顧客基盤を有するメガキャリアと提携して、バリューチェーン全体を押さえにかかっているというわけだね」

田中の分析に納得する佐藤であったが、ポンチ絵の中の「在宅」の部分が空白な事に気づいた。

「あれ、田中が書いてくれたポンチ絵なんだけど、『在宅』の部分が空欄になっているんだけど、何か理由はある?」

「流石、佐藤。この『在宅』が空欄になっている部分の話は、『海外のオンライン診療メーカーの動向』について議論する中で話をさせてほしい」

海外オンライン診療メーカーの動向は?

「先程の『在宅』の部分を空欄にしていた理由を話す前に、Teladoc, Livongoの話をさせてほしい。Teladocは、2002年設立の老舗テレヘルステクノロジー企業。米国において、強固な顧客基盤を確立している企業。また、Livongoは、2014年にシリコンバレーで設立された企業で、糖尿病管理のパーソナライズが好評で、製品の顧客満足度を示すNPSでは、あのNetflix並みを誇る。」

「そういえば、その両社が合併したことは大きなニュースになったよね。両社が合併した意図について、教えてもらえる?」

「先程のオンライン診療メーカーの話に似ているけど、要は診療~在宅までのバリューチェーンをカバーし、『ホールパーソンケアを実現』することが狙いだと思う。」

「Teladocは、自社の『広範な臨床ネットワーク』に、Livongoの『AI』、『デジタルデバイス』を加え、患者を継続的にモニターし、解決策を提案する能力を獲得出来たんだ。」

「ホールパーソンケアの実現」。何となくコンセプトは理解できるが、もう少し具体的に、「どの様なことが出来るようになるのか?」を知りたいと思う佐藤であった。

「『ホールパーソンケアを実現する』というコンセプトは理解出来たけど、もう少し具体的に何が出来るようになるのか?について話してもらうことは出来るかな?もう一段解像度を上げることにより、具体的に考えやすくなると思う」

「そうだね。では、具体的にTeladoc, Livongoのサービスを使ってどの様なことが出来るようになるのかについて、具体例を元に考えてみよう」

そういうと、田中は、ホワイトボードにあるフロー図を記載していった。

「今回は、ケース①:新規処方とケース②:処方変更の2パターンについて、TeladocとLivongoのサービスが使われる流れを記載してみるね。」

「ケース①:新規処方では、Teladocのサービス上でオンライン診療を受診後、治療薬が処方されるのと同時に、在宅での血圧管理のために、「高血圧プログラム」を紹介されている。このプログラムでは、自宅に、血圧計やデバイスが入った、ウェルカムキットが送付され、在宅での血圧コントロールをサポートしている。デジタルデバイスを通じたメッセージだけでなく、適宜オンライン上でのコーチングプログラムも提供されていて、治療の脱落を防止されるように設計されているんだ。」

「またケース②:処方変更では、『在宅』→『診療』の流れも設計されており、例えば在宅でLivongoの血糖測定器で血糖異常値を検出したら、デバイスを通じてコーチングへ誘導され、対処法のアドバイスが行われる。その際、必要に応じてTeladoc上でのオンライン診療受診も促され、処方変更も行われる。」

今まで「診療」から「在宅」までシームレスに連携されるメリットについてコンセプトでは理解していたが、具体的なユースケースで理解が進んだ佐藤であった。

「説明有難う。凄くクリアになったよ。『診療』と『在宅』が一つのサービスでシームレスに繋がることによる患者メリットは大きいね。正に患者が、必要な時に必要な情報を受け取ることが出来、必要に応じて受診もできる。これが『ホールパーソンケア』なんだね。」

「ところで、先程、国内オンライン診療メーカーの動向の部分で『在宅』の部分が空欄になっていたけど、国内でもLivongoの様なメーカーとの連携の可能性もあるってことかな?」

「そうだね。この領域は国内でもペーシェントサポートプログラムを提供する会社も出てきているし、製薬会社も注目している領域だよね。この領域も一気通貫に連携されれば、ヘルスケア~医療全体の健康バリューチェーンが構築されることになるよね。このペーシェントサポートプログラムなんだけど、個人的に注目していてMRが貢献出来る部分も大きいのではないかと考えているんだ」

「もう少し詳しく聞かせてほしいな。」

MR活動にどの様に生かせるか?

「前も話したかもしれないけど、今後求められるMRは、MR活動の中心に患者さんを置き、『医師とその先の患者の成功を導く“伴走者”』と考えているんだけど、その点から考えても、上手くMR活動の中に、ペーシェントサポートプログラムから得られた患者さんの生の声、データを取り入れていく必要があると思う。今まで、MRは医師との接点は強かったと思うけど、患者さんとの接点はなかった。これからも直接やり取りすることはないかもしれないけど、プログラムを通じて間接的に接点を持てるようになるかもしれない。」

「確かに、その通りだね。前回の治療用アプリの話でも、患者さんとの接点の話が出てきたけど、そう考えるとやはり、デジタル化を進めることにより、患者さん中心の医療が実現出来るようになるんだね。これまでデジタル化は、効率化の話ばかりだったけど、これらの事を理解した上で、上手くデジタルを使いこなすことが質の高い情報提供も可能にするというわけだね。」

「その通りだと思う。デジタルを如何にして活動に取り入れるか?という点について、少し先の未来を予想しながら、先回りして変化していく力も今後のMRには求められるね」

「今日も、色々と議論出来て楽しかったよ。これまで治療用アプリ、オンライン診療について、少し先の未来を予想しながら、議論する中で少しづつ具体的に考えられるようになってきたと思う。色々と新しいテーマを調べるのは大変だと思うけど、最後の大きなテーマとして『GAFAの動向』について2回に分けて、議論していきたいと思うから、調査お願いね!」

「了解!任して。」

終わりに

どうだっただろうか。今回は、コロナ禍において注目を浴びる国内オンライン診療メーカーの動向並びに、海外の先進事例としてTeladoc、Livongoのケースを元に、今後の方向性を確認し、MR活動にどの様な影響を与えるかについて考えてきた。

前回の治療用アプリの事例や、ペーシェントサポートプログラムの例もそうだが、今後は、今まで接点を持てなかった「在宅」における「患者データ」に接点を持てるようになる。患者中心の医療を実現するうえで、MRはどの様に活用していけばよいのかについて、もう一段解像度を上げて考えていく段階に来たと感じている。

⇒第六回:「GAFAの動向は?(前半戦)」を読む

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